「防衛特別所得税」という言葉を耳にしたものの、何に対してかかる税金なのか、いつから始まるのかよく分からない方も多いのではないでしょうか。
そもそも、この言葉初めて聞いたという人も結構いるはず。
私もこの所得税について知らなかったので気になって調べてみました。

いつの間にできたんだ?どんな税制なのか調査する必要がある
「防衛という名前がついているから、自衛官に関係する?」
「給料から1%引かれるの?」
そんな疑問を持つ方に向けて、防衛特別所得税の仕組みや開始時期、自衛官の給与や手取りへの影響を初心者にも分かるように解説します。
先に結論をお伝えすると、防衛特別所得税は給料そのものの1%が引かれる税金ではありません。
また、2027年には復興特別所得税の税率が同時に下がるため、この制度の切り替えだけで手取りが急に1%減るわけではありません。
※この記事は2026年8月1日時点の財務省・国税庁の公式情報をもとに作成しています。
防衛特別所得税で手取りがすぐ減らない理由

防衛特別所得税の開始だけを理由に、2027年から手取りが給料の1%分減ることはありません。
理由は、防衛特別所得税が1%始まる一方で、現在2.1%の復興特別所得税が1.1%に下がるからです。
| 時期 | 所得税に上乗せされる税金 | 合計する割合 |
|---|---|---|
| 2026年まで | 復興特別所得税 2.1% | 2.1% |
| 2027年から | 防衛特別所得税 1%+復興特別所得税 1.1% | 2.1% |

給与などから源泉徴収する際の合計割合は、制度の前後とも基準となる所得税率の102.1%です。
国税庁も、源泉徴収税額の計算方法に変更はないと案内しています。

「給料の1%」ではなく、「所得税額の1%」
ここが一番間違えやすいポイント!
ただし、基礎控除などほかの税制改正や、給与・手当の変化によって、実際の手取り額が動くことはあります。
ここでは防衛特別所得税と復興特別所得税の組み替えだけを比較しています。
防衛特別所得税は2027年1月から始まる

防衛特別所得税は、防衛力強化に必要な財源を確保するために新設された税金です。
2026年3月31日に関連法律が公布され、2027年1月1日以後に生じる所得から適用されます。
会社員や自衛官の給与では、原則として支払日を基準に判断します。
たとえば2026年12月分の給与が2027年1月に支給される場合は、2027年分の源泉徴収税額表が使われます。
防衛特別所得税の課税期間は、法律上「当分の間」とされています。
現時点では、明確な終了年は定められていません。
防衛特別所得税は所得税額の1%で計算

防衛特別所得税は、年収や給料の総額に1%をかけるのではありません。
基本的な計算式は次のとおりです。
防衛特別所得税額=基準所得税額×1%
例えば、基準となる所得税額が年間10万円だと仮定すると、防衛特別所得税は1,000円です。
| 基準となる所得税額 | 2026年までの復興特別所得税 | 2027年からの防衛税+復興税 | 合計額の差 |
|---|---|---|---|
| 5万円 | 1,050円 | 500円+550円=1,050円 | 0円 |
| 10万円 | 2,100円 | 1,000円+1,100円=2,100円 | 0円 |
| 20万円 | 4,200円 | 2,000円+2,200円=4,200円 | 0円 |
この表のように、名前と内訳は変わりますが、この部分の合計額は変わりません。
なお、実際の所得税額は給与額だけでは決まりません。
扶養家族の人数、配偶者控除、保険料控除、住宅ローン控除などによって異なります。
そのため、「年収500万円なら必ずいくら」と一律に示すより、ご自身の源泉徴収票や給与明細を確認する方が正確です。
復興特別所得税との違いを表で比較

防衛特別所得税と復興特別所得税は、いずれも所得税に上乗せする税金ですが、使い道や課税期間が異なります。
| 比較項目 | 防衛特別所得税 | 復興特別所得税 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 防衛力強化に必要な財源の確保 | 東日本大震災からの復興施策の財源確保 |
| 2027年以後の税率 | 基準所得税額の1% | 基準所得税額の1.1% |
| 開始・終了 | 2027年から当分の間 | 2013年から2047年まで |
復興特別所得税は、もとも2037年までの予定でした。
今回の改正で税率を1ポイント下げる代わりに、課税期間が10年延長され、2047年までとなります。
したがって、「2027年に合計税率が上がらないから、家計への影響は一切ない」とまでは言い切れません。
目先の合計割合は2.1%のままですが、復興特別所得税の負担は当初の予定より長く続くことになります。

目前の割合だけでなく、「いつまで負担が続くのか」も一緒に確認しよう
自衛官の給与やボーナスへの影響を確認

「防衛特別所得税」という名前ですが、自衛官だけに課される税金ではありません。
民間企業の会社員、公務員、自営業者など、所得税を負担する人が対象です。
基準となる所得税額が0円なら、その1%である防衛特別所得税も0円です。
自衛官の給与やボーナスについては、防衛省側が源泉徴収を行います。
本人や家族が、防衛特別所得税のために新しい申請書を提出したり、税金を別に振り込んだりする必要はありません。

年末調整も、所得税、防衛特別所得税、復興特別所得税を合わせて計算します。
源泉徴収票には、原則としてこれらを合計した金額が記載されるため、防衛特別所得税だけの金額は読み取れません。
自衛官の給料と手当の仕組みは、海上自衛官の給料・年収一覧で詳しく解説しています。
ボーナスの支給時期や手取りについては、自衘隊ボーナスはいつ?階級別手取りも解説もあわせてご覧ください。
防衛特別所得税のよくある疑問を解決

給料の1%が引かれるの?
いいえ。
防衛特別所得税は、給料や年収ではなく、基準となる所得税額の1%です。
自衛官だけが対象なの?
いいえ。
防衛費の財源とする税金ですが、自衛官限定の税金ではありません。
所得税を負担する人が対象です。
住民税にも1%上乗せされるの?
いいえ。
防衛特別所得税は、国税である所得税を基準に計算します。
この制度によって、住民税にも1%が上乗せされるわけではありません。
別に申請や支払い手続きが必要?
給与から所得税が源泉徴収されている人は、防衛特別所得税のためだけに新しい手続きをする必要はありません。
個人事業主など確定申告が必要な人は、2027年分以後の申告で所得税とあわせて計算します。
給与明細に防衛税と別表示される?
国税庁のQ&Aでは、源泉徴収票の「源泉徴収税額」欄に3つの税金の合計額を記載するとされています。
毎月の給与明細の表示方法は支給者の様式によりますが、少なくとも源泉徴収票だけを見て防衛特別所得税の金額を分けることはできません。
退職手当も対象になるの?
退職所得に所得税がかかる場合は、その源泉徴収の計算にも防衛特別所得税と復興特別所得税が含まれます。
ただし、両方を合わせた割合は引き続き2.1%のため、2027年の組み替えだけによって退職手当の源泉徴収税額が変わるわけではありません。
自衛官家庭が今から確認しておきたいこと

防衛特別所得税のために、今すぐ家計を大きく見直したり、特別な手続きをしたりする必要はありません。
まず知っておきたいのは、次の3点です。

2027年に給与明細の所得税額が変わっていたとしても、すべてが防衛特別所得税の影響とは限りません。
給与額、扶養人数、各種控除、その他の税制改正も分けて確認する必要があります。
家計全体を整えたい方は、海自家族の家計管理術|転勤族でもお金を貯めるコツ5選も参考にしてください。

「給料から1%増税」と思い込まず、まずは仕組みを正しく知ることが大切だね
防衛特別所得税の重要点をもう一度確認

防衛特別所得税は、2027年1月から始まる新しい税金です。
▼ポイントをまとめます
- 防衛特別所得税は基準所得税額の1%
- 給料や年収の1%が引かれるわけではない
- 自衛官だけでなく、所得税を負担する人が対象
- 2027年に復興特別所得税が2.1%から1.1%へ下がる
- 防衛税と復興税の合計割合は2.1%のまま
- 復興特別所得税の課税期間は2047年まで延長
「防衛特別所得税が始まるから、給料が1%減る」という理解は正確ではありません。
一方で、復興特別所得税の課税期間が10年延びることも、家計に関係する大切な変更です。
新しい税金の名前だけに不安を感じるのではなく、「何にかかるのか」「今までと合計額はどう変わるのか」を分けて確認しましょう!
公式情報・参考資料




